荒川光のブログ

Hikaru Arakawa's blog

「得意料理はカレーです」という男

カレー 料理 イワシ 魚

筆者特製のイワシ&玄米カレー(レトルト品を使用)

「得意な料理は何?」と女性に尋ねたときに、「カレー」と答える人はあまりいないのではないでしょうか?(あまりこんな質問をしたことがないのであくまで想像ですが)

 

ところが男同士で料理の話になったときに、カレーが得意だという人はよくいます。

そして自分の作るカレーがいかにうまいかや、こだわりの調味料、自分オリジナルの煮込み方などなど、嬉々として語り始める人は多いのです。

 

 

そんな話を聞くことが別に嫌ではなく、ときにはむしろ愉快なこともあるのですが、心の中では「あぁ、あなたもやはりカレーですか。カレーしか作れないんですね」などと思ってしまいます。

 

カレーは誰にでも作れます。そして失敗することも少ない。

私は今までにおいしくないカレーなんて食べたことがありません。小学生がキャンプのときに焚火で作ったカレーだっておいしいのです。少し焦がしてしまって、失敗しちゃったなと思うときだってありますが、それでもやはりカレーとはおいしいものなのです。

 

そんな誰にでも作ることのできるカレーを自分の得意料理だという男。

女性によってはこんな男を「かわいいな」なんて思うこともあるのかもしれません。しかし男である私からしてみると「僕はカレーしか作れないんだけど、けっこうおいしくできるよ。簡単だしね」と素直に言ってもらいたい。

 

「カレーには絶対にシーフードは欠かせないよね」とか「タマネギを飴色になるまで炒めてさ」などと言われると返答に困ってしまいます。「飴色」ってどんな色ですか? 炒めたタマネギを形容する以外には決して使わないくせにさ。

 

「ぜいたくにリンゴを2個もすりおろして」とか「トマトをつぶして入れるのが隠し味なんだよね」とか、出てくる出てくる。

みなさんもぜひ身近な人にきいてみてください。「得意料理」→「カレー」→「こだわりのレシピ」という流れで盛り上がること間違いありません。

 

しかし、かくいう私も実はカレーが大好き。そしてそれしか作れず、また得意でもあるのです。

 

そう考えれば「私のカレー自慢」も、目を細めて寛大な気持ちで聞くべきなのでしょう。

実際に彼の手作りのカレーを食べるわけではないですし。

 

 

ところが、話の成り行きで本当に食べることになってしまったことが何度かあります。

その人の家に招かれ、本人のありがたい解説付きで調理を間近に見学し、彼のカレーを世界最高のカレーたらしめている秘密を私だけに惜しげもなく伝授していただいたのです。

 

例えば「バー〇ントカレーの中辛とジャ〇カレーの辛口とを何対何の割合で入れる」だとか「ジャガイモを小さく切っちゃう人が多いけど、うまいカレーにはジャガイモは絶対に大きめ! 煮込むのにその分時間がかかるけど、その待っている時間がまたカレー作りの醍醐味なんだよね」とか「豆乳が」だの「ハチミツが」だの「月桂樹が」だの「タカノツメが」だの「あー」だの「こー」だの。

 

そしてついに完成。いよいよ食事です。

確かにおいしいのです、あたりまえですが。

 

「どう? どう?」とひっきりなしにきかれて「おいしいね おいしいね」とひっきりなし。

3分ごとに「どう?」「おいしいです」

3分ごとに「どう?」「おいしいです」

「おかわりは?」「おかわりください!」

「もう一皿どう?」「いただきます」あぁ。

 

「おいしかった」

「今日は本当に最高の時間を過ごせました」

「僕も今度作ってみようかな」

「さっきのレシピ、メモさせてもらっていい?」

 

   「食材は良いものを選ばなきゃだめだよ」

   「肉の代わりに魚を使えるようになれば上級者」

   「何といってもカレーはスパイスがキモだからね」

   「やっぱ、料理は数をこなさなきゃだよ」

 

「なきゃだよ、だって。バカだよ」

「早く帰りたい」

「食べ過ぎて吐きそう」

「さようなら」

 

カレーは自分の家で自分の好みで作って、コンビニで買った500円くらいの赤ワインを飲みながら黙って食べるのが好きということを再認識した冬の夜なのでした。