最近の自動車って本当に便利になりましたね。
特に注目すべきなのは室内装備の便利機能の数々。一昔前なら手を使っておこなっていた動作を、今では指1本でできるようになってきています。
しかし! 人間の労力を限りなくゼロに近づけていこうというメーカーの努力には敬意を表すれども、「そんな装備って別になくてもいいんじゃない?」「逆に不便なんじゃないの?」という疑問を抱いてしまうケースもあるのです。
今日はそんな「別になくてもいいんじゃねぇ」的な装備をやり玉に挙げ、多少の嫌味と屁理屈で味付けして書いていく企画の第一弾です。
今日のテーマ「パワーウィンドウ」
大昔、クルマの窓の開閉はハンドルを手でクルクルまわしておこなっておりました。
しかし現在では「パワーウィンドウ」という素敵な名前で呼ばれる快適便利な装置が台頭し、旧式のクルクルハンドルを博物館送りにしてしまいました。
今では軽トラックや、一部の車種の一部のグレードでのみ、そのなつかしい昭和時代のノスタルジーに浸ることができます。
ここで、パワーウィンドウをご存じない方のために簡単に説明を加えておきますと、この装置はパワーウィンドウスイッチを「押す/引く」あるいは「下げる/上げる」ことによって、電動モーターの力で窓ガラスを上下させるものなのです。
さて、ではこの偉大なる発明が我々に一体どんな恩恵をもたらしたのか?
その最大のものは、腕の筋肉を疲労させてハンドルを回さずとも、ひとさし指一本で目的を達成させられるようになったということです。これは便利!パチパチパチ(拍手)。
生活していく上で人が耐えしのばなければならない数多の苦痛の一つから、人類は解放されたのです。
「楽をしたい」。その思いが我々の文明をここまで発展させてきたのですね。
またもう一つ、副産物的な結果として、パワーウィンドウがクルマのインテリアデザインの洗練に寄与したことも挙げておかなければならないでしょう。
ドアの内側に不格好なハンドルが付いているよりも、スタイリッシュなパワーウィンドウスイッチが付いていた方がカッコいい。
なかにはスモールランプに連動してスイッチ部分がブルーやオレンジ色に発光し、夜間の室内においてその存在を主張するようなナルシスティックなスイッチまであるのです。
しかし、逆にこの便利な機能によって我々が失ってしまったものは、はたして無かったのでしょうか?
「腕の筋肉を失った」などというくだらない冗談を言うつもりはありません。
まじめな話をしますが、窓を自分が開けたいと望む幅ぴったりに開けにくくなってしまいました。
運転席側のパワーウィンドウにオート機能が付いているクルマが多いですが、これなどはスイッチへの力の入れ具合で、ガラスが下まで下がり切ってしまったり、上まで上がり切ってしまったりしてしまいます。
ですので、例えば上から2.5センチだけ窓を開けたいという希望を叶えるために、何度もやり直さなければならないことがあるのです。
このやり直しは結構人をイラつかせます。
テクノロジーに愚弄されているような気がして、窓を上げたり下げたりと悪戦苦闘している自分の姿に自分自身で羞恥を感じてしまいます。
本来生活を便利にするための技術であるはずが、その技術を使いこなすために新たな別の種類の労力を強いられる。
この本末転倒の事態に直面して、人のための技術ではなく技術のための技術、ひいてはメーカーの独りよがり、便利の押し売りといったものを感じてしまうのです。
窓ガラスを狙った位置ぴったりで止めるには、パチンコ店にあるスロット台の「目押し」のような熟練が必要とされ、素人にはほぼ不可能との意見もあります(知人の自動車販売店員Aさん談)。
しかしこれがクルクル式の窓であれば、上から例えば2.7センチぴったりに開けることだって叶わぬ夢ではないのです。
パワーウィンドウのもう一つの短所は、しばしば起こる故障です。
修理するにあたっては、部品代と交換工賃で結構な出費を覚悟しなければなりません。しかし手動式開閉装置であれば、故障のリスクはぐっと下がります(同氏談)。
さあ、手動式と電動式、一体どちらがいいんでしょうかねぇ?
私は手動式でいいですし現に手動式のクルマに乗っています。
もしかしたら、18年も昔に誕生したポンコツの軽自動車に乗っている私のヒガミがこんな記事を書かせたのでしょうか?
最後に手動式の良いところをとどめにもう一つ。
それはイグニッションキーをオンにしなくても窓の開閉ができるという点です。
パワーウィンドウの場合はいちいちキーをオンにするかエンジンをかけなければ窓ガラスは動いてくれないんです。
手動式ならバッテリー上がりの車であっても窓の開閉ができるのです。
もうこれだけ挙げれば手動式の圧勝ですね。第一、ハンドルを回すことでどれだけ疲れるっていうんですか?
高級車を中心に採用されているパワーシート。
これも意外と不便な点があるものです。
下の記事をあなたに贈ります。