禁酒を始めて良かったなーとつくづく実感することの一つに、夜に知的活動をする時間ができたということがあります。
誤解なきように断っておきますが、決して私が知的な人間だと言っているわけではありません。単に知的な活動をする時間ができたというご報告です。
ご存じの通り世の中には、知的活動をする非知的な私のような人間もたくさんいるのです。
ところで知的な活動と言えば真っ先に読書が思い浮かぶのではないでしょうか?
そうなのです。私は禁酒をすることによって夜眠りにつく前のひと時、読書のための貴重な時間を得たのです。
学生の頃は結構いろいろな本を読んだものでした。19世紀のフランス文学なんか読んだりもしていたのです(今のご時世にそんなもの読む人いるのかな?)。
しかし社会人になってからというもの、めっきりと読書の楽しみから遠ざかっていました。
仕事が忙しくて?
人づきあいも大事だし?
もちろんそれも事実です。しかし目をそらしてはいけないもっと大きな理由がありました。
その理由、その犯人はズバリ、お酒です。
その事実には薄々気付いていたのですが、今までずっと気付かないふりをしてきました。お酒を悪者にしたくなかったからです。
酔った状態で読書できるのはほろ酔いまでです。
そこを超えるともう無理で、本を開く気力も失せ、小さい活字に目の焦点を合わせることもままなりません。
酔った私はそのまま布団にもぐりこみ、あっという間に意識を失うのが常でした。
慢性的な睡眠負債を抱え、おまけに金銭負債も抱え、職場で怒られ、好きな子には相手にされず、過労とストレスでぼろ雑巾のようになっている私は、とどめにアルコールのパンチを受けてあっけなくベッドに沈むのでした。
ですので寝付けるかどうかの心配をすることはありません。ベッドに入るやいなや1秒で現実世界とサヨナラできたのです。
不眠に悩んでいる人からすればうらやましい話でしょうか?
その代わりに私は20年以上にもわたって夜の時間を有効に使えないまま捨ててしまっていたのです。
禁酒を始めてから、寝る前の30分ほど読書することができるようになりました。
そして読み始めてみると毎回「あぁ読んで良かった」という喜びをかみしめることができます。
たんに「楽しい」とか「面白い」というだけのことではありません。
毎日消費し消費されることで生きている自分が、このひと時だけはそんな消費スパイラルや貸し借りの連鎖から外れたところで、意味のある時間を過ごしていると実感できるのです。
決して現実逃避ではありません。
それどころか、この時間こそが私にとっての現実だと思えるほどです。この時間のために非現実的な労働に身を粉にしているとまで思えてきます。
今読んでいるのは G・ガルシア=マルケスの「百年の孤独」です。
ずいぶん昔に一度読んだことのあるこの長い小説を、ゆっくりとチビチビ数ページ読んでから寝るのが楽しみです。
読み終わるまでに何か月かかるのやら。
チビチビやりながらチビチビ読むなんてこともたまにあるのですがね、ヒッヒッヒ。
読んだ本の感想も、いつかこのブログに書いてみようと考えています。
禁酒したために寝付けないなんて嘆いているあなたも読書などしてみてはいかがでしょうか?
勉強や自己啓発のため、仕事やビジネスに役立てるための読書もいいですが、浮世離れした遠い昔の、あるいは遠い異国の物語も、きっといい夢を見させてくれますよ。