運転代行の女性ドライバーはモテる?
私が勤務している代行会社の女性運転手の例を挙げましょう。
私は2種免許を持っていませんので客車を運転したことはありません。
客車を追いかけて行く車、随伴車と呼ばれている車を運転しているのです。
そんな私は客車を運転する女性ドライバーとペアを組んで仕事をしたことが何度かあります。
私の仕事は次のような内容です。
助手席にそのドライバーを乗せてお客様のところまで行く。
ドライバーが客車の運転を始めたらその後を追いかけて目的地まで走る。
客車から降りたドライバーを回収してまた次のお客様のところへ向かう。
この繰り返しを決められた時間までやるということなのです。
その女性ドライバーは美人でも可愛くもありません。
深夜に二人きりで車に乗っていても何らの感情も湧いてこない女です。
しかしながら彼女、行く先々でチップをもらい、「可愛いね」なんて褒められ、連絡先を訊かれたり、口説かれたり、「今度から指名していいですか?」なんて言われたりしているのです。
「『ギュッとしていいですか?』なんて言われちゃった。ダメですよ、奥さんに怒られますよって言ってやったわ」なんて嬉しそうに言うのです。
本人の作り話でもなさそうです。
キャバクラから自宅へ送っていった客がそんなことを言うのですから驚きです。
キャバクラのお姉さんと、この疲れ果てた顔をしたアラフォー女とでは雲と泥くらいの違いがあるのですから。
お姉さんに相手にされなかったのでしょうか?
身の丈に合った女の方に親近感を覚えたのでしょうか?
酔っているし真っ暗だしで幻想を見たのでしょうか?
代行の女性ドライバーがモテる理由
私の分析ですが、代行の女運転手がこのようなモテ方をする理由は以下の6点です。
- 暗いために欠点が見えない。自分に都合良く理想化できる。
- 深夜にこんな仕事をすることに反対する夫や彼氏がいない可能性が濃厚。
- 過酷な労働に耐えている姿をけなげでいじらしく思う。断崖に咲く花が美しく見えるのと同様、背景とのコントラストによる錯覚。
- 患者が女性看護師を頼もしく思うように、運転する能力を失った者は自分を安全に自宅へ送り届けてくれるドライバーを頼もしく思う。その気持ちが女性ドライバーを実際以上に見せてしまう。
- 自分の車も命も相手に預けたことにより、まるで自分が相手に対して丸裸になったようで一種の解放感と高揚感を覚える。
- 相手を見下している。代行のドライバーを自分よりも下等な存在だとみなしているがゆえに安心して下品な口説き方ができる。
こんな感じではないでしょうか?
私は彼女の他にも何人か女性の客車ドライバーを知っていますが、客から受ける言動は大体上記の女性ドライバーと同じです。
本人がモテていると思うかセクハラだと思うかは人によって違いますが。
中には酔っ払いのセクハラ客とのやり取りが苦痛で、2種免許を持っているにもかかわらず客車の運転を断念するドライバーもいます。
随伴車の運転手への転向を余儀なくされるのです。
最近ではセクハラや性犯罪に対して毅然とした態度で立ち向かう女性が出てきています。それによって後に続く人々、ファロワーたちも増えてきているのは素晴らしいことです。
しかしそれでもまだまだセクハラを断固として否定する、拒否するというまでには機は熟していません。
昼間正気で仕事をしている真っ当な人間たちですらそうなのです。ましてや運転代行などという、はみ出し者たちの寄せ集めで成り立っているような産業において、セクハラ撲滅などという夢のような未来が期待できるでしょうか?
代行の女性ドライバーがチヤホヤされるのは「モテ」ではない
とても残念なことですが、結論として私が言わなければならないのは次のことです。
すなわち、運転代行の女性ドライバーは決してモテてなんかいない。
単にセクハラを受けているだけなのだと。
それを「モテ」だと脳内変換させてしまっている彼女たちの哀れ。
いや、本当は彼女たちだって分かっているのです。決して恋でも愛でもないことを。
でも、つかの間でも自分の存在を認めてくれる人に出会って、その夜の仕事に安い給料以外の何らかの意味を見出せたのです。
不惑を過ぎた、バツイチ子持ちの、いつも支払いに追われ、毎月携帯電話やガスの止まる、狭い集合住宅に住んでいる、歯の欠けた、疲労にやつれた、手抜きの化粧を間に合わせでしてくるだけの、ブス。
彼女たちの未来に、どうか、幸せあれ。