夜に運転代行のアルバイトをしています。
ここ1年半ほどは、事務所でお客様からの電話対応と自社の車両への配車業務をしています。
その電話のやり取りでしばしば相手から言われることのある「大丈夫です」という言い方について今日は書いてみようと思います。
飲食店から、あるいは個人のお客様から、代行車を1台回してほしいという依頼の電話があったとします。何分で来てくれますかと。
私はその時点での全車両の運行状況と、入っている予約の状況から判断して「30分でお伺いできます」と答えたとします。
すると相手から「では大丈夫です」という返事をされることがあるのです。
この「大丈夫」をどのような意味に受け取れば良いのでしょうか?
1)それで大丈夫です。来てください。
2)それなら来てくれなくても大丈夫です。要りません。
2通りの解釈が可能なのです。
そのどちらなのかをハッキリさせなければなりません。
さもないと必要とされているのに行かなかったり、逆に要らないと言われているのに行ってしまうことがあるからです。
実際に私が配車をしていてそのような間違いが何度かあったのです。
私の経験上では「大丈夫です」という言葉は「要らない」という意味で使われていることがほとんどです。
ではどうして人ははっきりと「要らない」と言わないのでしょう。
「(来てくれなくて)大丈夫です」というまぎらわしい言い方をするのでしょう。
その理由は「要らない」という強い断り文句を言うことに抵抗を感じるからでしょう。拒絶したように受け取られないかということを懸念して、やんわりと断ろうとして「大丈夫です」という言葉を選んだのだろうと想像します。
私にも思い当たることがあるのです。
コンビニエンスストアで弁当を買って、店員さんから「温めますか?」と尋ねられた時に「大丈夫です」と答えていたことがあったのです。
これは「温めなくていい」という意味で使っており、店員さんに誤って解釈されたことはありませんが、私の中で自分の発した言葉に納得がいかない気持ちがありました。
「温めなくていいです」という、ただそれだけのことを伝えるだけなのに、それをハッキリ言葉にすることをためらう気持ちがあったのです。
英語の「ノーサンキュー」やフランス語の「ノンメルシー」のような、明確に断りつつ、なおかつ相手の心遣いへの感謝も伝わる言い方があれば良いのですが、日本語で「いいえ、ありがとう」と直訳風に言ってもあまりしっくりときません。
考えた末、現在の私は「温めましょうか?」と店員さんにきかれたら「いいえ、そのままで結構です」と答えるようにしています。
では運転代行の場合ではどのような断り方があるでしょう?
運転代行との電話のやり取りに慣れたお客様や店員さんの中には、上手な断り文句の「型」を自分の中に持っていらっしゃる人がいます。
例えば
「では検討して、頼む時にはまたお電話します」
「30分ですか、では他をあたってみます」
「今回は結構です。また次回お願いします」
などです。
なかなかいいですね。
「要らない」という言葉を使わずに要らないことを伝えようとしているのです。
他にはもっと単刀直入にこんなふうに言う人もいらっしゃいます。
「30分もかかるの~? じゃあいらねぇ」
「今回はナシってことで」
「キャンセルキャンセル、いらないよ(ガチャン)」
分かりやすくていいですね。
私が運転代行に電話をかけた客の立場だったとしたら、どんなふうに断るか考えてみました。
私だったら、そうですね。こんな感じかな。
「30分ですか、お忙しいんですね。今日はちょっと急いでいますのでまた次回お願いします」
ハハハ、まぁ代行の電話番をしている立場から言えば、断るのにそんなに気を遣ってくれなくてもいいですよ。嬉しいですけどね。
誤解なく意味が伝わることが一番かもしれません。
断り文句に限らず、人に何かを伝えようとするときに「ノーサンキュー」のような便利なひと言があればいいのになと思うことが時々あります。
でも外国語にはあって日本語にないこと、逆に日本語にはあって外国語にないこともたくさんあることでしょう。
だからひと言で済まそうとせずに、ちょっと長くなってもいくつかの言葉をつなげて、要件と気持ちがきちんと伝わるようにしていこうと思っています。
最近は言葉を縮めたり略したりして会話時間を1秒でも短縮しようとする風潮があります。
時代の要請でもあるのでしょう。
同じことをクドクド言ったり、前置きが長かったり、回りくどくて要領を得ないような話をする人との会話にはイライラしてしまうことが私にもあります。
ですので言葉の省エネ化と内容の充実という2つを上手くバランスさせていく工夫が必要だろうと思います。
おっと、これくらいで切り上げましょうかね。
「オマエ、話がなげーよ」なんて声が聞こえてきそう。
さようなら。