荒川光のブログ

Hikaru Arakawa's blog

飲食店が運転代行を呼ぶ上で注意したいこと6つ

 

アルコール類を提供する飲食店は、かつては客が店内にいる間だけ客の対応をしていれば良かったのですが、時代は変わりました。

今では飲んだ客の帰りの手伝いまでしてやらなければならなくなったのです。

客が自分の携帯電話から直接代行を呼んでくれればよいのですが、飲食店の店員に代行を呼んでほしいと頼む客も多いのです。

ほとんどの店では客の依頼に答えて代行を呼ぶと思います。タクシーを呼ぶのと同じように。

しかし、数ある代行会社の中の任意の1社に電話をかけて、呼べば終わりではありません。

タクシーと違って運転代行を呼ぶにはいろいろと面倒くさいことが多いのです。

 

今回は飲食店側からの目線で運転代行について書いてみようと思います。

 

 

 

目次

運転代行は呼んですぐ来るとはかぎらない

運転代行はタクシーと違って呼んですぐ来るとはかぎりません。

日によって、あるいは時間帯によっては1時間以上待たなければならないこともあるのです。

 

「代行を1台呼んで」と頼まれた店は、通常普段呼ぶことの多い代行会社の中から1社選んで電話をかけます。

そこで代行会社から「20分でお伺いします」と言われたとしましょう。しかし「ではお願いします」と店員は即答できないこともあるのです。

 

店員は電話を保留にしたまま客のところへ行き「20分で来るそうです」と伝えます。

客がそれでいいと言えばその代行を頼みます。しかし客によっては「もっと早く来てくれる代行を探してくれ」という人もいるのです。

 

店員はいったん電話を切り、他の代行会社をあたります。

もっと早く来れる代行会社、例えば10分で来れるというような会社を見つけられればよいのですが、どこの会社も20分かかるとすると、客にその旨を伝えに行かなければなりません。

客が「それでは仕方がない、20分待つよ」と言ったら店員は最初に電話をした代行会社にもう一度電話をかけて20分待つので来てくださいと頼むのです。

 

しかし代行会社にはひっきりなしに予約の電話がかかってきています。5分たてば配車できる車の状況が変わることはよくあります。

そんな時に店と代行会社とで軽いトラブルが発生することがあります。

「さっき20分で来れると言ったじゃないか」という店員と「さっきの時点では20分でしたが他から依頼が入ったので、今でしたら30分お待ちいただくことになります」といったやりとりがおこなわれます。

 

店員はあきらめて2番目に電話した代行会社にかけなおします。

その会社の車が20分で来てくれればよいのですが、そこでももっと待たされるとなると飲食店としてはたまったものではありません。

しかも飲食店は料理を作ったり、運んだり、食器を洗ったり、会計をしたりするのがメインの仕事なのです。忙しい時間帯に代行を呼ぶなんて雑用に時間を食われている暇はありません。

 

しかし今私は「雑用」という言葉を使いましたが、ここ数年の飲食店の状況を見ていると、代行を呼ぶ仕事は決して雑用ではなくなってきています。

いかにスムーズに代行を呼んで客を気持ちよく帰らせるかということは、店が客に提供するサービスの中で大きな位置を占めるようになってきました。

 

また逆に代行を上手く呼ぶことができず客にストレスを与えてしまうと、せっかく心地良い時間を過ごしてもらおうとした店の努力が台無しになってしまうこともあるのです。

代行で不愉快な気分になったことを理由に「この店にはもう来ない」とまではならないと思いますが、店で過ごした楽しい気分に水を差すことになるのは間違いないのです。

 

店は代行を呼ぶ作業が短時間で間違いなく済むようにいろいろな工夫をしていると思います。

あらかじめ客から何分以内に来る代行なら呼んでいいか、上限の時間を確認してから電話するのが効率が良いでしょう。

 

 

 

代行料金は会社によって違う

タクシーと異なり代行料金は一律ではありません。各代行会社によって料金は違います(*注 平成29年10月現在の情報です。料金を一律にしようという動きもあるようです)。

店が代行を呼ぶ場合、早く来てくれることを優先させると料金の高い代行が来ることがあります。

店としては代行料金が高かろうが安かろうが関係ありませんが客は違います。

「同じ店から自宅まで帰ったのに、前に帰った時よりも高い」と清算時に文句をいう客が時々いるのです。

また高い代行を呼んだ店を逆恨みする客もいます。

このようなことがあると、その客が次回から店に代行を頼む時に「安い代行を頼んでくれ」とか、「○○代行以外にしてくれ」などと条件をつけることがあり、店としては選択肢が狭まり、仕事がしにくくなるのです。

 

長くお店をやっていていくつかの代行会社と付き合いがあれば、ある程度代行料金の違いも分かってくると思います。

しかし運転代行なんてものがなかった時代であればこんな労力は必要なかっただろうにと店を気の毒に思うこともあります。

 

余談ですが、基本的に安い代行会社は待ち時間が長いことが多いです。そしてたった数百円安く済ませるために1時間も余計に長く待つという客も中にはいるのですから驚きです。

暇でいいですね。

代行が約束した時間に来ない

代行が時間通りに来ないことはよくあります(あってはいけないことですが)。

どうして時間通りに来れないのかについてはいずれ別の記事で詳しく解説するつもりですので、ぜひそちらをご覧ください。

 

代行が約束の時間に来なくて困るのは店の客ばかりではありません。

客の怒りの矛先が、その代行を呼んだ店にも向けられることがあるからです。

店が親切で代行を呼んでくれたにもかかわらず、来ない代行の責任の一端があたかも店側にもあるかのような言動をする客がいるものです。

大方は酔っぱらっていて理性が働かないからなのですが、だからといって大目にみてあげる理由もありません。

 

客は店で過ごした時間の満足度を総合的に判断しています。

料理が美味しいとかそうでないとか、料理が出てくるのが遅いとか、店内の雰囲気とか、音楽とか、店員の対応とか、ホステスのいるような店では当然ホステスへの満足度が店の評価の大きい部分を占めることになります。

そんな評価対象の中に代行も含まれていることを忘れてはいけません。

 

お店にとっても客の回転率を上げたい時間帯に代行がなかなか来ないと売上げを損ないます。

店内で代行が来るのを待っているだけの客というのは、もう何も料理を注文しないものです。

そんな客が長居しても1円にもならないばかりか、テーブルを占拠して次の客の入店を邪魔しているのです。

お店としては早く帰ってもらいたいものです。そのためには早く代行に来てもらいたいのです。

 

小さい店の場合、閉店時間にかかわらず客が帰らないと店員も帰れないことがあります。

例えば午前2時に閉店するスナックがあったとしましょう。

代行を2時に来るように呼んであります。2時に客を代行で帰して、その後店員も帰宅するためです。

しかし代行が2時を過ぎてもまだ来ません。

そんな場合、店を閉めることができません。閉店時間だからといって常連客を2時に店から追い出し、代行が来るのを待っている客を尻目に店員だけ先に帰宅することは難しいのです。

結局代行が来るまで店員も客に付き合わなければなりません。

時間通りに来ない代行というのはそれを直接利用する客にとっても、また店にとっても迷惑なものなのです

 

 

 

代行を依頼した客が代行が来る前に勝手に帰ってしまった

飲食店から呼ばれて、代行会社の車が時間通りに店に到着しました。

代行の運転手は店に入って到着した旨を店員に伝えます。しかし代行で帰るはずだった客はそこにいません。

店員は「さっき会計を済ませて店から出て行ったので、駐車場の自分の車の中で待っているのではないでしょうか?」と言います。

しかし駐車場の車をくまなく探してもそんな客はいません。

 

どんな可能性が考えられるでしょう?

たまたま近くにいた別の代行会社を拾って帰ってしまったか、待ちきれずに飲酒運転で帰ったか、歩いて別の店へでも行ったか、宇宙人にさらわれたかしたのでしょう。

 

仕事は空振りに終わってしまいました。

しかしこんな場合に代行を呼んだ店に苦情をいうわけにはいきません。店はただ客の代わりに代行を頼んだだけなのですから。

店にキャンセル料を請求するわけにもいきません。

はるばる店に辿り着いた代行会社の車は、客がいないことを会社に報告し、また次の店へと車を走らせるのでした。

 

私もこんなことが何度もありました。

店から呼ばれて行ったのだから、客を代行の運転手にきちんと引き渡す責任が店にはあるのではないか? と私などは思うのですが、どうなのでしょうか? 

店もそこまで責任は持てないですよね、きっと。

飲食店が代行会社を何社も呼んだ場合に起こりがちなトラブル

大型の飲食店などでは代行の車を一度に10台近く呼ぶことがあります。

代行会社1社だけでその台数をまかなえない場合には、飲食店は複数の代行会社でその台数を確保することになります。

 

そんなときに起こりやすいトラブルを3つ。

 

1つ目

普通は店に到着した代行会社の順番で、出てきた客を乗せて出発しますが、順番抜かしをする人がやはりいるのです。そんな時に運転手同士でいざこざが起こったりします。

 

2つ目

店から出てきた客の中には自分の携帯電話から個人的に代行を頼んでいる人もいます。その客が、自分が個人的に呼んだ代行ではなく、店から呼ばれて来ている別の会社の代行で帰ってしまうことがあります。多くは双方の勘違いによるものです。

しかしその客が遠方へ帰る客で、呼ばれていた代行会社のお得意様だったりすると、「ウチの客を取った」とその代行会社から電話がかかってくることもあります。

代行会社の配車係同士で言い合いになることもあるのです。

客は酔っていて頭も働かないし、運転手だって夜で相手の顔もよく見えない。

狭い駐車場は客と運転手と車でごちゃごちゃしているし、みんな急いでいるしで間違えてしまうこともあるのです。

 

3つ目

代行を自分で呼ばず、店に頼んで呼んでもらうこともせず、とりあえず店から出てくる客もいます。そうするとそこには何台も代行の車がいる。ではこれで帰るかと、待っている代行を使って帰ってしまう人もいます。

そうすると店から呼んだ代行が足りなくなる。

店から代行会社に電話がかかってくる。

 

店「おたくに3台頼んだはずなのに2台しか来ていない」

代行会社「いや3台到着して3台とも出発した」

店「1台来てなくてお客様が30分も待っていて怒っている」

 

飲食店は呼んだ代行会社の社名を客に伝えたり、代行会社に客の名前を伝えたりと、間違いが起こらないように間に立っていろんな苦労をしています。

 

 

 

店から客が出てこない

代行会社が店に到着したのに客がなかなか出てこないことがあります。

話が盛り上がってまだ帰りたくないのでしょうか?

だったらまだ呼ぶなと言いたいです。

 

また、2人で飲んでいる客が2台代行を頼んで、1台は到着したがもう1台がまだ到着しない。こんな時に、2台そろうまで店から出てこない客というのがいます。

代行会社は店から電話で代行の依頼を受けたときに「2台同時に到着しなくても、着いた順番にすぐに出てきてください」と伝えておくこともありますが、その通りに実行されないこともしばしばなのです。

 

これは店の責任ではなく客の責任なのですが、時間にルーズな客の多い店というのは割とあります。そういう客層なのでしょう。

もしくは客に気兼ねして「代行が待ってますのでそろそろお帰りください」と伝えられない店なのでしょう。

そういう店からの仕事はだんだんと受けなくなってしまいます。よほど暇な時は別ですが。

特にわざわざ時間指定をして代行を呼んでいるにもかかわらず、その時間になっても出てこない店というのは、代行の仕事を受け付ける優先順位は最下位です。

まとめ

今見てきたように、飲食店が客に代わって運転代行を呼ぶというのは結構大変な仕事です。しかしその業務をうまくこなせれば、店にとってそのサービスは一つの武器となるのではないでしょうか。

代行を上手に使うためのマニュアル作りや従業員教育などにも力を入れてみてはいかがでしょう。

 

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