荒川光のブログ

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運転席のドアにイージークローザーって必要か? 否!

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自動車のドアにイージークローザーという機能が付いている車があるのをご存じでしょうか?

これはどんな機能なのかと言いますと、ドアを半ドア状態まで閉めると、その後は電動でシュッと吸い込むように完全に閉めてくれる機能なのです。

一見便利な機能です。重いドアを力任せに閉める必要がない。

 

特にミニバンのスライドドアを、力の弱い人が子供を抱いたり荷物を持ったりしたまま最後まで閉め切るのは困難なことがあります。

またバックドアも同様に、高い位置からドアを押し下げて確実に閉め切るには相当な力が必要です。

イージークローザー機能はそれをアシストしてくれるのです。

 

それはそれでいいのですが、私がここで取り上げたいのは運転席のイージークローザーです。

あまり馴染みがないかもしれませんが、ベンツやBMWやその他高級車に付けられていることがあります。

この運転席ドアのイージークローザーって要らなくないか? というのが今日のテーマです。

 

私は運転代行の運転手をしていますので、いろんなお客様の多種多様な車を運転するのですが、運転席に乗り込んでドアを閉めようとする際にちょっと戸惑うことがあります。

「この車のドア、イージークローザーかな?」という疑問のためなのです。

レクサスだのクラウンだの、いかにもイージークローザーが付いていそうな車に乗り込んだ時には常にそうです。

 

どこかに「イージークローザー」と書いてあったり、マークがあったりすれば良いのですが、見て分かる印はないのです。

同じ車種でもグレードによって付いている車とそうでない車がありますし、オプションで選べる車種の場合には、購入時にオーナーがその選択をしています。

車をカスタマイズして、後付けで取り付けている人もいるでしょう。

ですのでイージークローザーの有無はお客様に直接尋ねるか、実際に閉めてみないと分かりません。

 

しかし私はお客様にそんなことをいちいち尋ねたりしません。それはどっちかというとヤボな質問なのです。

ですので運転席に座ったら、とりあえず半ドア状態まで閉めてみて様子をみます。

モーターの音がしてドアが吸い込まれるように閉まればそれでよし。閉まらなければもう一度開けて、今度は強めに閉め直します。

 

しかしこの閉め直しという行為がお客様に不快感を与えやしないかと、あるいはプライドを軽く傷つけやしないかと不安に思うのです。

だいたい高級車に乗っている人というのはその車にステイタスを感じていたり誇りに思っていたりするものです。

そのドライバーズシートに私のような、あまり使いたくない言葉ですが、最近の言い方でいうといわゆる「底辺の」人間が恐れ多くも座り、その車にイージークローザーが付いているかどうかチェックする。そして「あっ、この車には付いてないんだな」と閉め直しをする。

 

「私はこんな車には乗り慣れてますよ。そして大概イージークローザーが付いている。でもこれには付いてないんですね。へぇー、付いていないクラウンっていうのもあるんだ。これホントにクラウンかな?」

こんな風に映りはしないか?

 

そのお客様は本当はイージークローザーを付けたかったかもしれないのに、予算の関係で断念したのかもしれないのです。

そんな記憶の底に沈めたはずの古傷をどうしてほじくりかえさなければならないのか。これから代行運転を始めようというのっけから。

 

かといってイージークローザー付きのドアを勢いよくバンと閉めると故障するという話もききます。

「おいおい運転手さん、そこらの軽自動車と同じ感覚で乗ってもらっちゃ困るよ。あんたには恐らく一生買うことのできない、これはメルセデスベンツって車なんだぜ、知らなかったんなら教えておいてやるけど」

なんていう事態にもなりかねません。

実に不便な機能なのです。私にとっては。

 

またこれも個人的な意見ですが、イージークローザーが作動する時のウィーンウィンというモーターの音もあまり好きではありません。そんな閉まり方がカッコいいとも思わない。

反対に「ドンッ」という官能的な重低音を胸に響かせて閉まるドアの方が好きなのです。

 

ジャズ&ラテンシンガーのMAYAさんが2004年に発売したメジャーデビューアルバム「Maya」の中に、カーディガンズの「カーニバル」をカバーした曲が入っています。

その曲の冒頭に車のドアの閉まる音が入っているのですが、これがとてもカッコいいのです。

コツコツと響くヒールの音。車のドアを開ける音。閉まる音。エンジンの始動音。

これらの音から私の脳裏に浮かんでくる情景は、深夜の駐車場をゆっくりと歩く大人の女。ちょっとけだるげになまめかしく反響する足音。静かにドアを開けて優雅に滑り込ませる腰。渋い音を立てて閉まるドア。動き出すエンジン。

こんな感じです。

 

化粧品メーカーでは化粧用コンパクトの閉まる音に着目し、より美しく快い音で閉まるように音の研究をしていると聞いたことがあります。

女が鏡の前で戦闘用の顔を作り「さあ、行くぞ」と気持ちを新たにしてコンパクトのフタをパチンと閉める。その音は自分を奮い立たせるような、鼓舞するような美しい伴奏音であってほしい。

 

また逆にポテトチップスなどのお菓子の袋を開けるときの音が嫌で、いつも私に開けさせる女もいましたっけ。

イージークローザーの作動音は、電動鉛筆削り器の音と同様に私の好みではありません。

日常生活の中の音って意外と私たちの気分に影響していると思います。

 

ミニバンのスライドドアがパワースライドドアになっていたり、イージークローザーが付いているのは便利で良いと思います。

「押す」「引く」や「上げる」「下げる」という方向への力は入れやすいのですが、スライドドアを横方向に動かすというのは人体の筋肉の構造と相性が良くないような気がします。

 

またバックドアについては、これは性差別と言われるかもしれませんが、男が力強くバンと閉める姿がカッコいいという気がしませんか?

サーファーの男が夕暮れ、海を背にサーフボードを担いでハイエースに戻り、荷室にサーフボードを突っ込む。大きな手でリアゲートをつかんで軽々と閉める。

そんな姿に女性のみなさんは憧れたりしないでしょうか?

残念ながら私はサーフィンをしたこともありませんし、背も低いのでハイエースのバックドアを理想的な動作で閉められるかどうか分かりませんが。

 

さて、そんなわけで「運転席のドアにはイージークローザーを付けるんじゃねぇ」という暴論でした。

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